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多重債務事件における事例紹介

本件は判例ではなく、破産事件の事例紹介である。
本件の最大の問題点にして、特殊事情は、やや高齢の母親に代わり、既に所帯のある息子が、母親の住んでいる居宅の住宅ローン債務者となっている。
ところが、家と土地に3分の1の母親の持ち分設定がなされているために、住宅ローン債務者にはなっていないのであるから、その持ち分には財産的価値があると裁判所が言い出したことである。
なお、家・土地の全部に住宅ローンのための抵当権が設定されているが、これを破産申立人の物上保証と見て、住宅ローン債権者に求償できると考えているところに問題の根深さがある。平たく言えば、裁判所の正気を疑う。
そもそも、息子が自分の住んでいない母親の家のローン債務者になっているのは、親に頼まれて断れないからである。なお、息子は自分の住宅ローンも抱えている。したがって、母親の家土地の固定資産評価額の持ち分割合で買い取れなどという話に応じる余力はないし、常識で考えてもその必要もない。
本件は、いかにして、その裁判所の無理難題を退けたかという事例である。
なお、単に裁判所が非常識だと感情的に言い放っても話が前に進まないことは一般の市民の方にもおわかりいただけよう。
他の弁護士であれば、裁判所がそういっているから、買取資金を用意してと、この息子を路頭に迷わせるだけであるが、どう考えても結論が間違っていると考えたために、今まで誰も試したことのない方法をとった、すなわち裁判所の言い分がいかに現実の市場経済にそぐわないかを、適正な価格を示すことで理解してもらおうという試みである。
ところが、ここで次の障害にぶつかる。すなわち、不動産鑑定士の協力が得られない。共有持ち分を望んでもいない共有者に売却する時の価格算定など過去にやったこともなく、鑑定書に責任が取れないというのである。専門家として責任ある発言だと思うが、それでは前に進まない。そこで、不動産鑑定の方法を文献に学び、鑑定意見を作成した上で、その価格で共有者に売却した上で、代金の一部を申立費用のために前払いしてもらい、申立後に管財人の評価を受けることを条件としたのが、本件の事例である。
資料の1枚目は、その管財人の財産評価の最終で、これを見ると、共有持ち分の固定資産評価額を財団財産として評価しながら、最終的な処理は、買い主である息子への売掛金(不動産の売買残代金)の財団組み入れによって処理済と記載されている。私の鑑定意見と鑑定意見に基づく売買の正当性を、管財人が申立後に不動産鑑定士(適正な不動産の売却価格ではなく、私の鑑定意見が不動産鑑定士から見て相当か否かという依頼をしたとのことである)に鑑定依頼した結果、不動産鑑定士も相当であると判断したとのことである。
これにより、息子は路頭に迷わずに済んだし、おそらくかような結果を招いた場合、母親が自殺していたことも考えられる事案であった。
これを機に不動産の共有持ち分に掛かる評価の方法を体系的に整理していただきたいと考える次第であるが、裁判所が言った言葉には間違っていても従うという弁護士の姿勢を改めることから変えていく必要があろう。
残念ながら、現時点で上記の処理をしようと思う弁護士、実際に出来る弁護士の名前を挙げろと言われても、見つからない。
私自身、過去に本件の成功事例があるからと言って、結論を求めて依頼を受けても、結果の保証はできない。しかし、少なくとも、目の前の多重債務者を路頭に迷わせたくないという気持ちをもって、本件と同じ事件処理を進めようという気持ちはある。それだけでも、当事務所に依頼する価値があると考える次第である。








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